アジア文明博物館の受付向かって右側のコロニアル調の階段を上がったところにあるのが、ホワイエギャラリー。
10月よりイスラム新展示「'ILM: Science & Imagination in the Islamic World」がオープンしました。
‘knowledge’(知識)と英訳されるアラビア語の ‘ILMという言葉は、クルアーン(イスラム教の聖典)とハディース(預言者ムハンマドの伝承)に最も頻繁に現れる言葉の一つだそうです。
イスラム世界における「‘ILM(イルム)」は、科学に関する知識のみならず、芸術までも含むより広い概念であり、この展示では科学と芸術、そして宗教との密接な繋がりを感じさせられます。
アストロラーベは、天体や地上の目標物の高度、角度を測定できる観測器具であり、ムスリムが行う必要のある1日5回の礼拝の時刻やキブラと呼ばれる礼拝を行う方向を見つけるために使われました。
クルアーンの聖句が刻まれているインドネシア•ジャワ島のチーク材チェスト。
通常このタイプのチェストは正面にのみ飾りがありますが、こちらは正面、両側、そして蓋にまで美しく彫刻が施されています。
H:109xW:178.2xD:96.7の大きさですから、上部の蓋を開閉して物の出し入れをするのは大変だからでしょうか、チェスト裏側に別の扉が隠れています。
そして一番奥、窓から差し込む光を背に浮かび上がって見えるのは、‘Alamと呼ばれる、行列用の旗竿。
‘Alam中心部花柄の卵型の部分
イラン、サファビー朝。
‘Alamは、特にイランでは、預言者ムハンマドの孫 Husseinの殉難を悼む日(イスラム歴の最初の月 Muharramの 10日目であるAshuraの日)に行われる行列に使われるそうです。
この他50点以上のイスラムアートが展示されているホワイエは、入館無料でご覧いただけます。
この機会にぜひ、イスラムの知識:科学と想像から生み出された芸術作品の鑑賞にいらしてください。
アジア文明博物館
1 Empress place Singapore 179555
日本語ガイドツアー (ハイライト)月〜金曜 10:30、 第2土曜 13:30
どうぞお気軽にご参加下さい。
http://acm.org.sg/ → リンクはこちら